スイミーの絵などレオレオニ作品の技法を分かりやすく解説します!
レオレオニは、一度見たものを瞬時に記憶して、後からありのままを描き出す能力があったと言われています。
しかし、レオレオニの作品は、その写実力を生かしたものだけではありません。
素材のやわらかい風合いを生かしたものや、にじみや質感を生かしたものなどさまざまです。
作品ごとにいろいろな「技法」が使い分けられているため、レオレオニの作品は独特で味わい深い絵が多くなっています。
この記事では、スイミーをはじめとするレオレオニ作品に使われている技法について、専門的な用語はなるべく使わずに、分かりやすく解説していきます。
✓ スイミーなどのレオレオニ作品に使われている技法について知りたい人
✓ スイミーなどのレオレオニ作品がどうやって描かれているか知りたい人
✓ スイミーなどのレオレオニ作品に興味がある人
この絵本はこの技法を使っています、といった形で分かりやすく解説していきます。
目次
モノタイプ:レオレオニの作品「スイミー」の絵に使われている技法
モノタイプってどんな技法?
モノタイプの「モノ」は、ギリシャ語の「Monos(モノス)」に由来していて「ただひとつの」という意味を持ちます。
モノタイプは、紙やアクリルなど版となる素材の上に、油性や水性の絵具で絵を描き写しとる手法です。
「ただひとつの」という意味があるように、偶然の表現と効果を狙う版画の技法のため、まったく同じものを制作することはできません。
モノタイプは写しとる手法のため、別名モノプリントとも言われます。
モノタイプが使われた「スイミー」
小学校の国語の教科書でおなじみの「スイミー」の絵は、モノタイプが使われています。
岩や地面、植物、水といったさりげない背景にも、モノタイプを併用することで独特の温かみを出しています。
コラージュ:レオレオニの作品「フレデリック」の絵で使われた技法
コラージュってどんな技法?
コラージュ(collage)は、「糊で貼り付ける」という意味のフランス語の動詞「coller」に由来する用語です。
パブロ・ピカソの作品《籐椅子のある静物》(1912)が誕生してから、絵画を制作する手法の一つとして価値づけられました。
コラージュは、切った紙を貼り付けていき一枚の絵を構成する技法です。
簡単に言うと、小さい頃にやった「貼り絵」ですね。
コラージュが使われた「フレデリック」
レオレオニの作品「フレデリック」ではコラージュが使われており、モフモフとしたねずみの毛の質感を紙をちぎることで表現しています。
また、岩や植物のスッキリしたラインは、ナイフやハサミで紙を切ることで表現しています。
コラージュで使う紙は、和紙や薄くて透ける素材などさまざまです。
コラージュは、使う素材や切り方を変えることで表現の幅が広くなる技法です。
レオレオニ作品の魅力的なキャラクターたちの多くは、「コラージュ」と「モノタイプ」で生み出されています。
フロッタージュ:レオレオニの作品「ひとあしひとあし」の絵で使われた技法
フロッタージュってどんな技法?
フロッタージュは、 フランス語の 「frotter(こする)」に由来します。
木、石、硬貨など、表面がでこぼこした物の上に紙を置き鉛筆などでこすると、その表面のてこぼこが模様となり紙に写し取られます。
このような技法とこれによって制作された作品を、フロッタージュと呼びます。
フロッタージュの作品は、表面のでこぼこによっては、制作者のコントロールが部分的に効かないことがあります。
また、見る人によって何に見えるかが異なるかもしれない、といった特徴があります。
何で描くか・何で写しとるかで、同じものでも異なった表現になるのがフロッタージュの特徴です。
フロッタージュが使われた「ひとあしひとあし」
レオレオニの作品で、フロッタージュが使われているので有名なのは「ひとあしひとあし」です。
一つ一つの葉っぱの模様は、フロッタージュを使って写しとられているのが分かりますね。
フロッタージュを使うことで、小さなしゃくとりむしが見る大きな世界を、ユーモア満点に表現しています。
スタンピング:レオレオニの作品「あいうえおのき」の絵で使われた技法
スタンピングってどんな技法?
スタンピングとは、型どりできるさまざまなものに絵の具やインクを付けて、画用紙などに押し当てて型の模様を写す技法です。
型押しとも言われます。
コラージュやフロッタージュと同じ、モダンテクニックの一つです。
スタンピングが使われた「あいうえおのき」
「あいうえおのき」には、スタンピングが使われています。
色の異なる葉っぱのスタンプを、画面いっぱいに押して描いていますね。
この絵本は、嵐に吹き飛ばされてこわごわ縮こまっていたあいうえおの葉っぱたちが、手をつないで言葉を紡ぎ出すというストーリーです。
さまざまなスタンプを使って表現することで、絵本のテーマともリンクさせた作品となっています。
他にもレオレオニの作品に使われている技法はたくさん
レオレオニの作品には、他にもさまざまな手法や技法が使われています。
▼天才的な写実力を発揮し色鉛筆のみで描いた「せかい いち おおきな うち」
▼絵本としてはめずらしい油絵で描かれた「みどりの しっぽの ねずみ」
▼写実とコラージュの対比「うさぎを つくろう」
レオレオニの作品は、どれも作品にあった技法で作られています。
ストーリーだけじゃなく、絵自体からもメッセージが溢れ出てくるような作品ばかりです。
【まとめ】レオレオニは作品にあわせてさまざまな技法を使って絵本を描いていた
レオレオニの作品は、ストーリーや世界観にあわせてさまざまな技法が使われています。
その中でも、コラージュやモノタイプなど偶然の表現や二度と同じものが作れない技法が多く、レオレオニにしか出せない温かさや魅力を感じます。
どうやって描かれたのか背景を知ることで、レオレオニの作品の違った一面が見えてくるかもしれません。
フロッタージュやスタンピングなど、子どもと一緒にできる手法もあるので、やってみても楽しいと思いますよ。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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